高価な高機能塗料(無機や遮熱・断熱)って、本当に価格に見合うだけの価値があるの?
熊本市 築15年 50代女性
無機塗料や遮熱・断熱塗料は、普通の塗料の倍近い値段だと聞きました。この家には夫婦でずっと住むつもりなので長持ちはしてほしいんですが、営業トークではなく、本当に値段に見合うのか根拠を知りたいです。
市原
結論から申し上げると、見合うかどうかは「あと何年住むか」と「何に効いてほしいか」で決まります。長持ちする塗料は、住む年数によって塗り替えを1回減らせるときに価値が出ます。遮熱塗料は屋根の表面温度を下げますが、家全体の冷暖房費まで大きく変わるとは限りません。断熱をうたう塗料も、家の断熱材の代わりになるとは限りません。順にご説明しますね。
熊本で30年、戸建て塗装1,500件以上。押し売りしない無料診断がモットーです。
結論:高い塗料の価値は「塗り替えを1回減らせるか」で決まる
塗り替えのたびにかかるのは、塗料代だけではありません。足場、高圧洗浄、養生(窓や床など塗らない所を覆って守る作業)、職人の手間は、どのグレードの塗料を選んでも毎回かかります。だから長持ちする塗料は、塗り替えの回数が1回減るときにこそ元が取れます。反対に、回数が変わらないなら、高いぶんだけ持ち出しになることもあります。
当社は「いちばん高い塗料をどうぞ」とはお勧めしません。住む年数を伺ってから、ちょうどいいグレードを一緒に選びます。
当社は「いちばん高い塗料をどうぞ」とはお勧めしません。住む年数を伺ってから、ちょうどいいグレードを一緒に選びます。
住む年数で見る、塗り替えの回数
塗り替えまでもつと見込まれる年数(期待耐用年数)が15年の塗料と20年の塗料で、これから何年住むと塗り替えが何回になるかを数えてみます。
15年は、関西ペイントが外壁用の「アレスダイナミックTOP」について、塗り替えサイクルの図で示している年数です(製品ページ)。20年は、同じ会社の無機ハイブリッド塗料「アレスダイナミックMUKI」がうたう「超長期耐久 20年」です(製品ページ)。
15年は、関西ペイントが外壁用の「アレスダイナミックTOP」について、塗り替えサイクルの図で示している年数です(製品ページ)。20年は、同じ会社の無機ハイブリッド塗料「アレスダイナミックMUKI」がうたう「超長期耐久 20年」です(製品ページ)。
| あと何年住むか | 耐用15年の塗料 | 耐用20年の塗料 | 回数の差 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 1回 | 1回 | なし |
| 15年 | 1回 | 1回 | なし |
| 20年 | 2回 | 1回 | 1回減る |
| 25年 | 2回 | 2回 | なし |
| 30年 | 2回 | 2回 | なし |
| 35年 | 3回 | 2回 | 1回減る |
| 40年 | 3回 | 2回 | 1回減る |
※回数は今回の塗装を含みます。期待耐用年数ちょうどで塗り替える前提の単純な計算です。年数はいずれもメーカー公表の目安で、日当たりや立地、施工の質で変わります。
表のとおり、16〜20年、または31〜40年住むなら、長持ちする塗料で塗り替えを1回減らせる計算です。21〜30年なら回数は同じで、長持ちする塗料の良さは「次の塗り替えまでにゆとりができる」ことになります。10年以内に住み替えの予定があるなら、中位のグレードで十分なことが多いです。
見積もりを比べるときは、総額を期待耐用年数で割った「年あたりの費用」で並べると、グレードの違う見積もり同士でも比べやすくなります。
表のとおり、16〜20年、または31〜40年住むなら、長持ちする塗料で塗り替えを1回減らせる計算です。21〜30年なら回数は同じで、長持ちする塗料の良さは「次の塗り替えまでにゆとりができる」ことになります。10年以内に住み替えの予定があるなら、中位のグレードで十分なことが多いです。
見積もりを比べるときは、総額を期待耐用年数で割った「年あたりの費用」で並べると、グレードの違う見積もり同士でも比べやすくなります。

遮熱塗料:屋根の温度は下がる。冷暖房費は条件しだい
東京都環境局の測定では、対策をしていないコンクリート面が約62℃だったのに対し、高反射率塗料(日差しを跳ね返す塗料)を塗った面は約47℃でした。表面温度が約15℃下がった例として、環境省「ヒートアイランド対策ガイドライン」(平成24年度版)に載っています。下がったのは、塗った面そのものの温度です。
一方で同じガイドラインには、弱点も書かれています。夏は冷房の負担が減るかわりに、冬は日差しの熱も入りにくくなり、暖房の負担が増えます。また木造の戸建て住宅では、業務用の建物に比べて、1年を通した冷暖房の削減効果は大きくないとされています。
熊本の8月の日最高気温は、平年値で33.3℃です(気象庁)。暑さの厳しい夏に、2階が暑い、屋根が南や西を向いている、といった条件が重なるなら、検討する価値はあります。「電気代が大きく下がる」という説明を受けたら、どんな条件で測った数字なのかを尋ねてみてください。
一方で同じガイドラインには、弱点も書かれています。夏は冷房の負担が減るかわりに、冬は日差しの熱も入りにくくなり、暖房の負担が増えます。また木造の戸建て住宅では、業務用の建物に比べて、1年を通した冷暖房の削減効果は大きくないとされています。
熊本の8月の日最高気温は、平年値で33.3℃です(気象庁)。暑さの厳しい夏に、2階が暑い、屋根が南や西を向いている、といった条件が重なるなら、検討する価値はあります。「電気代が大きく下がる」という説明を受けたら、どんな条件で測った数字なのかを尋ねてみてください。

断熱をうたう塗料:家の断熱材の代わりとは考えない
塗料は薄い膜なので、断熱をうたう製品でも、壁や天井、屋根の中に入っている断熱材の代わりになるとは限りません。家の断熱の性能は、主に断熱材や窓で決まるからです。国の省エネ基準も、部位ごとに「断熱材の熱抵抗(熱の伝えにくさ)」の基準値を定めています(国土交通省告示第266号)。
性能の数字は製品ごとに測り方が違うことがあるので、比べるときはどんな条件で測った数字かを確かめてください。
塗料の効き方は、家がもともと持っている断熱にも左右されます。先の環境省のガイドラインでも、業務用の建物の試算では、断熱材の薄い建物ほど効果が大きくなっています。
検討するなら、今の断熱材が薄い家では、塗料だけで判断せず、屋根裏や天井の断熱も含めて相談すると判断しやすくなります。
性能の数字は製品ごとに測り方が違うことがあるので、比べるときはどんな条件で測った数字かを確かめてください。
塗料の効き方は、家がもともと持っている断熱にも左右されます。先の環境省のガイドラインでも、業務用の建物の試算では、断熱材の薄い建物ほど効果が大きくなっています。
検討するなら、今の断熱材が薄い家では、塗料だけで判断せず、屋根裏や天井の断熱も含めて相談すると判断しやすくなります。
グレードを決める前に、塗装店と話しておきたい3つのこと
ポイント1
あと何年住む予定か
10年か、20年か、30年以上か。年数が分かると、上の表のどこに当てはまるかが決まり、提案が一気に絞れます。
ポイント2
いちばん困っていることは何か
色あせ、汚れ、2階の暑さ。困りごとに効く機能だけを選べば、使わない機能にお金を払わずに済みます。
ポイント3
塗料と周りの寿命をそろえられるか
塗料が20年もっても、目地のシーリング(外壁の継ぎ目を埋めるゴム状の材料。コーキングとも呼びます)が先に切れれば、防水はそこで終わりです。長持ちの塗料を選ぶなら、周りの部材も同じくらいもつものにそろえます。
シリコン・ラジカル・フッ素・無機の違いと、シーリングとの寿命のそろえ方は「塗料のグレードで何が変わる?我が家に合う選び方」で詳しく解説しています。商品名まで書かれた見積書かどうかの見分け方は見積書のチェックポイントをご覧ください。
当社の実例:機能は「効く場所」にだけ使う
| お住まい・ご相談 | 実際の選び方 |
|---|---|
| 熊本市西区のお住まい(外壁の色あせ・ひび割れ、屋根の汚れやコケ) | 外壁は3分ツヤ(ツヤを控えめにした仕上げ)、日差しを受ける屋根には遮熱シリコン塗料。シーリングの打ち直しと防カビ塗料で細部まで施工 |
| 古くなったご実家(限られたご予算) | 外壁塗装とベランダ防水をご予算の中に収めるプランをご提案。予算内で収まるのかというご心配には、代表が直接ご説明しました |
高い機能を家じゅうに使うより、効く場所を選んで使うほうが、ご予算の中でできることが増えます。
まとめ:「いちばん良い塗料」より「わが家にちょうどいい塗料」
市原
3つだけ覚えておいてください。
①高い塗料の価値は、塗り替えを1回減らせるかどうかで決まる。
②減るかどうかは住む年数しだい。総額を期待耐用年数で割った「年あたりの費用」で比べる。
③遮熱は屋根の表面温度を下げるが、冷暖房費への効き方は家の条件で変わる。断熱をうたう塗料も、断熱材の代わりとは考えない。
あと何年住むつもりかを教えていただければ、上のグレードが要るのか、中位で足りるのかを一緒に考えます。過不足のない選び方ができれば、この家に腰を据えて、長く落ち着いた暮らしが続きます。「うちは何年もつ塗料にすればいい?」という問いを、住む年数と一緒に聞かせてください。
①高い塗料の価値は、塗り替えを1回減らせるかどうかで決まる。
②減るかどうかは住む年数しだい。総額を期待耐用年数で割った「年あたりの費用」で比べる。
③遮熱は屋根の表面温度を下げるが、冷暖房費への効き方は家の条件で変わる。断熱をうたう塗料も、断熱材の代わりとは考えない。
あと何年住むつもりかを教えていただければ、上のグレードが要るのか、中位で足りるのかを一緒に考えます。過不足のない選び方ができれば、この家に腰を据えて、長く落ち着いた暮らしが続きます。「うちは何年もつ塗料にすればいい?」という問いを、住む年数と一緒に聞かせてください。
無料診断・ご相談はこちらから
お電話:096-339-4539(有限会社 日進塗工/熊本市北区龍田)
お問い合わせフォームはこちら
「記事を読んだ」とお伝えいただければ話が早いです。診断だけのご利用も歓迎。完工後も年1回の無料点検で、住まいの主治医としてお付き合いします。
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この記事を書いた人
市原 功一朗(いちはら こういちろう)
有限会社日進塗工 代表|一級建築塗装技能士・外壁診断士
熊本市北区龍田を拠点に、地域の家々を塗り続けて30年。一級建築塗装技能士・外壁診断士として、熊本特有の暑さや雨風に合わせた戸建て塗装を累計1,500件以上手掛けてきました。「見えない下地処理こそ丁寧に」を信条に、押し売りのない無料診断を徹底。地元の視覚障がい者フットサル(ブラインドサッカー)のスポンサーなど、地域福祉への支援にも取り組んでいます。完工後も熊本の「住まいの主治医」として、年1回の無料点検で長くお付き合いしています。