壁に生えた黒ずみや緑のコケ、自分で高圧洗浄機を使って落としても大丈夫?

北側の外壁のコケを見つめる男性と、使う前の家庭用高圧洗浄機(イメージ)
公開日: お客様相談室
熊本市 築11年 50代男性
熊本市 築11年 50代男性
北側の外壁に黒ずみと緑のコケが目立ってきました。ホームセンターで高圧洗浄機を買って、自分で落とそうかと考えています。業者さんに頼む前に、自分でできることは自分でやりたい性分でして。ただ、壁を傷めてしまわないかが少し心配です。
市原
市原
結論から申し上げると、外壁に高圧洗浄機の強い水を当てるのはおすすめしません。強い水圧は、外壁の塗膜や継ぎ目を傷めることがあるからです。ご自分でやるなら「1階の手が届く所を、やわらかいブラシと水で」までにとどめるのが安全です。理由と、塗装店に任せたほうがいい線引きをご説明しますね。
市原功一朗この相談に答えるのは:市原 功一朗(日進塗工 代表・一級建築塗装技能士・外壁診断士)
熊本で30年、戸建て塗装1,500件以上。押し売りしない無料診断がモットーです。

結論:コケは「落とし方」より「なぜ生えたか」を先に見る

ご自分で手入れしようというお気持ちは、家を大事にされている証拠です。ただ、家庭用の高圧洗浄機でも、弱ったシーリング(外壁の継ぎ目を埋めるゴム状の材料。コーキングとも呼びます)や浮きかけた塗膜にとっては十分に強い水圧です。表面のコケは取れても、そこから水が入る道を作ってしまうことがあります。
そしてもう一つ。コケや藻そのものが、家の柱や骨組みを傷めるわけではありません。ただ、塗装の傷み方は変わってきます。築10年を過ぎた外壁にコケが根づくのは、表面の塗膜の防水力が落ちてきたサインのことが多いです。慌てて洗う前に、壁の状態を一度確かめておきましょう。

外壁の手入れは「水洗い」が基本。高圧洗浄は避ける

窯業系サイディング(セメントを主な原料にした板状の外壁材)の手入れは、水洗いか、食器洗い用などの洗剤を使った水洗いが基本です。柔らかい布や柔らかいブラシで洗い、そのあと流水で十分に洗い流します。
高圧洗浄は、塗膜や継ぎ目のシーリングを傷めることがあるので避けてください。熱い蒸気を当てるスチーム洗浄は、なおさらやめておきましょう(参考:外壁材の業界団体の資料・外壁材メーカーの資料・別の外壁材メーカーの資料)。
薬剤にも注意が要ります。漂白作用のある薬剤はカビの跡が残りにくい反面、サイディングそのものを傷めてしまうことがあります。
「塗装店も工事で高圧洗浄をするのでは?」と思われたかもしれません。塗り替え工事の高圧洗浄は、傷んだ所の補修と塗装をセットにした工程の一部です。洗いっぱなしにしないのが、DIYの洗浄との大きな違いです。水圧の加減を誤ると目地から水が入ることがあるので、塗り替えのときの洗浄は専門の業者に任せる作業です。
お宅の外壁がサイディングかモルタル(セメントと砂を練って塗った壁)かで、手入れの仕方は変わります。分からなければ、まずそこから確かめましょう。

なぜ北側にコケが生えるのか

コケは防水力が落ちたサイン。北側・日陰で湿気がこもり、塗膜の防水力が下がるとコケや藻が根づく(図解)
北側の壁は日が当たりにくく、雨や夜露のあとも乾きにくい面です。新築から年数がたって塗膜の防水力が落ちると、表面が水を含みやすくなり、そこにコケや藻が根を張ります。
つまりコケは、汚れであると同時に「この面の塗膜が弱ってきた」という知らせです。落とすだけでは、防水力は戻りません。

自分で高圧洗浄すると起きやすい4つのトラブル

トラブル何が起きるか
シーリングの割れが広がる劣化した目地(外壁の板のつなぎ目)に強い水が当たり、ひびやすき間が大きくなる
塗膜がめくれる浮きかけた塗膜がはがれ、外壁材がむき出しになる
壁の中や室内側に水が入る窓まわり・換気口・目地のすき間に向けた水が、内側へ回り込む。水は上から下へかけるのが基本で、下から上に向けて強くかけると継ぎ目から水が入ることがある
高い所から落ちる2階に届かせようと、はしごや脚立に乗った状態で水の反動を受け、バランスを崩す
強い水が、割れたシーリングやはがれかけた塗膜から壁の中へ入る(図解)

自分でやっていい範囲・塗装店に任せる範囲

自分でやっていいのは1階の手が届く所をやわらかいブラシと水で。2階・はしご作業と、目地・ひび・はがれは塗装店へ(図解)
線引きはシンプルです。1階の、脚立なしで手が届く高さを、やわらかいブラシと水で。汚れが落ちにくければ中性洗剤を使い、最後はしっかり水で流します。ホースで水をかけるときは、上から下へ向けてください。
2階の壁、はしごや脚立が要る場所、目地のひびや塗装がはがれている所は、塗装店に任せてください。

ブラシを持つ前の、3つのセルフチェック

ポイント1

壁を指でなでて、白い粉がつかないか

手に白い粉がつくのはチョーキングといって、塗膜が劣化して表面が粉になっている状態です。こすり洗いも力を入れすぎないようにしましょう。
ポイント2

目地(シーリング)に、ひびやすき間がないか

割れた目地には水を当てないでください。ブラシ洗いでも、そこへ水を流し込むことになります。
ポイント3

コケは1階の一部だけか、壁一面か

手の届く一部なら、手入れで様子を見る手もあります。2階まで広がっているなら、塗り替えを考える時期に入ったサインです。

根本的に解決するなら、生えにくい壁にする

広い範囲のコケは、洗って落としても、塗膜の防水力が戻らない限りまた生えてきます。根本的な解決は、洗浄で汚れを落とし、傷んだ目地や下地を直してから、塗り替えで防水力を取り戻すことです。塗り替えの工程の中身は、塗装を3回に分けて重ねる理由の記事でご紹介しています。
塗料には、防藻・防かびの性能を持たせたものもあります(参考:塗料メーカーの製品情報)。北側のコケが気になるお宅は、塗料を選ぶときにこの性能も確かめてみてください。

当社の実例:目地の傷みから始まったご相談

きっかけ当社の対応
熊本市東区・築19年。目地のシーリングの劣化が目立ち、2階の壁から少し雨漏りもあった状況確認で横目地の劣化が原因と考えられたため、窓まわりを含めて既存のシーリングを全て撤去して打ち直し。ヘラを厚みの出る形に変えて、入念に仕上げた(当社の施工事例より)
外壁の目地のひび割れが気になって相談された傷みの状態を写真で見せながら、補修の方法と費用をご説明
どちらも、目地の傷みが出発点でした。コケや黒ずみに気づいたときは、そのそばの目地も一緒に見てみてください。
訪問営業でコケを指さされて「今すぐ塗らないと」と言われたときの対処は「訪問業者に『今すぐ塗らないと』と言われた時の対処法」で、目地の切れ方の見分け方は「サイディングの目地コーキングが地震で切れた?」でもご紹介しています。

まとめ:洗うのは1階の手が届く所まで。コケの広がりは塗り替えのサイン

市原
市原
押さえておきたいのは3点です。
①外壁に高圧洗浄機の強い水は当てない。塗膜や継ぎ目を傷めることがある。
②自分でやるのは1階の手が届く範囲を、やわらかいブラシと水(落ちにくければ中性洗剤)で。2階・目地・ひび・はがれは塗装店へ。
③コケは塗膜の防水力が落ちたサインのことが多い。壁一面に広がっているなら、塗り替えを考える時期。
休日の手入れを安心して楽しめるよう、どこまでご自分でやっていいかを、無料診断で壁の状態を見ながら、一緒に線を引いてみましょう。
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お電話:096-339-4539(有限会社 日進塗工/熊本市北区龍田)
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「記事を読んだ」とお伝えいただければ話が早いです。診断だけのご利用も歓迎。完工後も年1回の無料点検で、住まいの主治医としてお付き合いします。

この記事を書いた人

有限会社日進塗工 代表 市原功一朗

市原 功一朗(いちはら こういちろう)
有限会社日進塗工 代表|一級建築塗装技能士・外壁診断士

熊本市北区龍田を拠点に、地域の家々を塗り続けて30年。一級建築塗装技能士・外壁診断士として、熊本特有の暑さや雨風に合わせた戸建て塗装を累計1,500件以上手掛けてきました。「見えない下地処理こそ丁寧に」を信条に、押し売りのない無料診断を徹底。地元の視覚障がい者フットサル(ブラインドサッカー)のスポンサーなど、地域福祉への支援にも取り組んでいます。完工後も熊本の「住まいの主治医」として、年1回の無料点検で長くお付き合いしています。

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