色見本で選んだのに「仕上がってみたらイメージと違った」が起きる原因と失敗しない対策

自宅の前で小さな色見本帳と外壁を見比べる女性(イメージ)
公開日: 更新日: お客様相談室
熊本市 築12年 40代女性
熊本市 築12年 40代女性
外壁の塗り替えで、色見本帳から色を選ぼうとしています。でも「塗ってみたら思っていた色と違った」という話をよく聞いて、だんだん不安になってきました。何百万円もかけて失敗したら、やり直しはききませんよね。どうすれば防げますか?
市原
市原
結論から申し上げると、イメージ違いの多くは「選んだ色が間違っていた」のではなく、「小さな見本と広い壁とで、同じ色の見え方が変わる」ことから起きます。原因は3つに絞れるので、それぞれに手を打てば防げます。原因と、失敗しにくい決め方の順番をご説明しますね。
市原功一朗この相談に答えるのは:市原 功一朗(日進塗工 代表・一級建築塗装技能士・外壁診断士)
熊本で30年、戸建て塗装1,500件以上。押し売りしない無料診断がモットーです。

結論:見本と壁は違って見えるもの。だから3段階で確かめる

色見本帳のチップは、指先ほどの大きさです。外壁はそれとは比べものにならない広さがあり、日差しの当たり方も朝と夕方でまるで違います。同じ塗料でも、見る大きさと光が変われば印象が変わるのは自然なことです。
だから色は、見本帳で一度に決めきらないほうがうまくいきます。画面のシミュレーション、大きめの見本板、実際に塗られた家と、見る条件を少しずつ本番に近づけながら絞り込んでいきましょう。
イメージ違いの3つの原因。面積・光・ツヤ(図解)

イメージ違いが起きる3つの原因

原因何が起きるか打つ手
面積(小さい見本と広い壁)一般に、明るい色はより明るく鮮やかに、暗い色はより暗く重く見えやすいA4程度など、大きめの見本板で確かめる
光(晴れ・曇り・時間帯・照明)室内の照明の下で選んだ色が、屋外の日差しの下では違って見える実際に塗る家の前で、時間を変えて見る
ツヤ(ツヤあり・ツヤなし)光の返り方が変わり、同じ色でも深みや明るさの印象が変わる見本も、仕上げと同じツヤのもので見る

いちばん大きいのは「面積効果」

見本帳で「ちょうどいい」と感じたクリーム色が、壁一面に塗ると白っぽく見える。落ち着いて見えたこげ茶が、真っ黒に近く見える。こうしたことは珍しくありません。
小さな面積で見た色と、広い面に塗った色とで見え方が変わるこの現象を、色彩の分野では「面積効果」と呼びます。一般に、明るい色は広い面ほど明るく鮮やかに、暗い色はより暗く重く見えやすいとされます。
同じ色でも、広い外壁では明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見えやすい(図解)
大きめの見本で確かめることは、塗料メーカーも勧めています。色見本帳のような小さな色票と、壁のような大きな面とでは、違った印象を受ける場合があるためです(関西ペイント「よくあるご質問」)。
光の違いにも注意が要ります。太陽の光の下では同じに見える2枚の色見本が、蛍光灯の下では違う色に見えることがあります。光の種類で色の見え方が変わるこの現象は、「メタメリズム(条件等色)」と呼ばれます(日本塗料工業会「色違い防止のためのご注意とお願い」)。室内で選んだ色を、最後は実際の家の前で確かめたいのはこのためです。

失敗しにくい決め方:3段階で本番の大きさと光に近づける

色は3段階で決める。カラーシミュレーション、大きめの見本板を屋外で、同じ色の家を見る(図解)
ポイント1

①カラーシミュレーションで全体のバランスを見る

ご自宅の写真に色をのせて、屋根・外壁・雨樋や破風(屋根の端に付く板)などの組み合わせを確かめます。ここで決めるのは「方向性」まで。画面の色は画面の明るさで変わるので、最後の決め手にはしません。
ポイント2

②A4程度など大きめの見本板を、屋外の日差しの下で見る

実際の塗料で塗った大きめの板を外壁に当てて、朝・昼・夕方と時間を変えて見ます。日の当たる南側と、日陰になりやすい北側でも見え方は違います。ツヤも仕上げと同じ段階のもので見られるか、塗装店に相談してみましょう。
ポイント3

③同じ色・近い色で塗った家を実際に見る

施工事例や近所で、候補の色に近い家を見られれば、広い面になったときの印象がいちばんよく分かります。ご家族と一緒に見に行くと、好みのずれにも早めに気づけます。
迷ったときの、現場での経験則もひとつ。明るい色で迷ったら、見本で気に入った色より半トーン落ち着いた色(ほんの少し暗め・くすませた色)も候補に入れて、並べて見比べてみてください。広い面では明るく見えやすいぶん、見本で「少し地味かな」と感じるくらいの色が、塗り上がるとちょうどよく収まることがよくあります。

当社の実例:色は工事の終盤まで一緒に考えます

ご相談実際の進め方
熊本県内・はっきりした外観のイメージをお持ちだったカラーシミュレーションで打ち合わせを重ねてから着工。工事の終盤に「装飾帯をワインレッドにしたい」とご相談があり、予定を変えて対応。当初のイメージよりひと味違う、シックで豪華な仕上がりに
熊本市中央区・モルタル(セメントと砂を練って塗った壁)とサイディング(板状の外壁材)が混ざった外壁家の造りを活かした、欧風の色使いをご提案
グレーとオフホワイトの外壁だったシミュレーションで検討し、外壁をすべてブラックに。黒い壁では白いアンテナが目立つとのご相談を受け、黒いアンテナに替えてイメージどおりの外観に
色は、塗ったあと10年以上付き合うものです。工事の途中で「やっぱりこうしたい」と思ったら、遠慮なく声をかけてください。工程によって変えられる範囲はありますが、できる方法を一緒に探します。
在宅しておくと安心なタイミング(色の最終確認もそのひとつです)は工事中の在宅や鍵の預け方の記事で、色と一緒に決める塗料の選び方は塗料のグレードの選び方の記事でご紹介しています。3つ目の原因に挙げたツヤの段階の選び方は、ツヤありとマットの違いを比べた記事でくわしくお話ししています。

まとめ:色は感覚ではなく、手順で決める

市原
市原
お伝えしたいことは3つです。
①小さな見本と広い壁、晴れと曇り、ツヤのあるなしで、同じ色でも見え方は変わる。
②だから、シミュレーション→大きめの見本板を屋外で→同じ色の家、の順に本番へ近づけて確かめる。
③迷ったら半トーン落ち着いた色も並べて見る。
「こんな雰囲気にしたい」というイメージがあれば、雑誌の切り抜きや写真1枚でもかまいません。大きめの見本での確認も、ご希望があればご相談ください。帰ってくるたびに「うちの家、いいな」と思える色を、ご家族と一緒に探しましょう。
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この記事を書いた人

有限会社日進塗工 代表 市原功一朗

市原 功一朗(いちはら こういちろう)
有限会社日進塗工 代表|一級建築塗装技能士・外壁診断士

熊本市北区龍田を拠点に、地域の家々を塗り続けて30年。一級建築塗装技能士・外壁診断士として、熊本特有の暑さや雨風に合わせた戸建て塗装を累計1,500件以上手掛けてきました。「見えない下地処理こそ丁寧に」を信条に、押し売りのない無料診断を徹底。地元の視覚障がい者フットサル(ブラインドサッカー)のスポンサーなど、地域福祉への支援にも取り組んでいます。完工後も熊本の「住まいの主治医」として、年1回の無料点検で長くお付き合いしています。

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