地震直後にやってくる「無料で屋根を点検します」という訪問業者。信じていい業者の見分け方

熊本の実家の母と、離れて暮らす息子の電話(イラスト・イメージ)
公開日: 更新日: お客様相談室
福岡在住(実家は熊本市西区 築30年)40代男性
福岡在住(実家は熊本市西区 築30年)40代男性
熊本の実家で一人暮らしをしている70代の母から電話がありました。「業者さんが来て、屋根がズレていると教えてくれた。無料で点検してくれるそうだ」と言うんです。地震の直後にちょうどよく現れた業者を信じていいのか…。私は福岡にいてすぐ帰れず、心配でたまりません。
市原
市原
ご心配はもっともです。はっきり申し上げます。その点検は、今日は断ってください。地震の直後に向こうからやって来る「無料点検」は、消費生活センターに相談が急増している典型的な手口と同じ形です。全ての業者が悪質とは限りませんが、見分けがつくまで屋根に上げないのが正解です。お母様に電話で伝えられる断り方まで、順にご説明しますね。
市原功一朗この相談に答えるのは:市原 功一朗(日進塗工 代表・一級建築塗装技能士・外壁診断士)
熊本で30年、戸建て塗装1,500件以上。押し売りしない無料診断がモットーです。

結論:地震直後に向こうから来る「無料点検」は、まず疑ってください

厳しい言い方に聞こえるかもしれません。ですが、地元で30年塗装をやってきた立場から、実情をお伝えします。
災害の直後、地元の業者は既存のお客様の応急対応で手一杯になります。飛び込みで一軒ずつ営業して回る余裕は、まずありません。つまり、地震の直後に「たまたま通りかかって屋根のズレに気づいた」と訪ねてくる業者は、それだけで通常とは違う動き方をしているのです。
屋根は地上から見えないため、「ズレていますよ」と言われても確かめようがありません。この「確かめられない不安」につけ込むのが、点検商法の構造です。

これは私たちだけの意見ではありません。今回の地震でも、熊本県が発生翌日の7月29日に「災害に便乗した悪質商法にご注意ください!」(熊本県消費生活センター)という注意喚起を公表しています。「補助金が出るので自己負担なしで直せる」「早く工事しないと大変なことになる」といった勧誘の手口が、公的機関からも具体的に示されています。

手口はいつも同じ。4つのステップを知っておいてください

点検商法の典型4ステップの図解。無料点検、屋根に上がる、不安をあおる、即日契約(図解)
ステップよくあるセリフここで断てば安全
① 無料点検を名乗る「近くで工事していて、お宅の屋根が見えたので」→ この時点で断るのが一番確実
② 屋根に上がる「無料なので見るだけでも」→ 上げたら主導権は相手に移ります
③ 写真で不安を煽る「このままだと雨漏りします」→ その写真が自宅のものとは限りません
④ 即日契約を迫る「今日決めてもらえれば割引します」→ 本当に必要な工事なら急がせません
怖いのは、屋根に上げてしまうと「わざと瓦をずらして壊す」被害まで報告されていることです。点検自体を断る、つまりステップ①で止めることがいちばんの防御になります。

データで見る:この手口の相談は5年で3倍に増えています

「屋根工事の点検商法」の相談件数の推移(件)

9232018年度1,1572019年度1,8242020年度2,3522021年度2,8852022年度
出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月公表)をもとに日進塗工作成。相談は5年で3倍超に増え、相談に占める高齢者の割合も16.2%から35.4%へ倍増しています。
国民生活センターには屋根工事の点検商法の相談が年々増えており、災害のあとは特に増える傾向が繰り返し注意喚起されています。相談に占める高齢者の割合も5年で倍増しました。
今回の地震のあと、熊本でも同じことが起きると考えて備えておくべきです。狙われやすいのは、日中に在宅していて、屋根の状態を自分で確かめられないご高齢の方。まさに、離れて暮らすご家族の出番です。

今すぐ親に電話で伝えたい、3つの約束

訪問業者への落ち着いた断り方の例(イラスト)
ポイント1

① その場で契約しない

「うちは、工事の契約はその場では絶対にしないことにしています」。この一言だけ覚えてもらえば十分です。理由を説明する必要はありません。
ポイント2

② 屋根には上げない

「点検は家族が頼んだ業者にお願いしています」と伝えて断ります。一度上げてしまうと、撮られた写真への反論が難しくなります。
ポイント3

③ 迷ったら「家族と地元の業者に相談します」

この断り文句は角が立たず、悪質な業者ほど引き下がります。名刺やチラシだけ受け取って、あとでご家族が会社の実在を確認しましょう。

信じていい業者かどうか、ここで見分けられます

チェック項目信頼できる業者注意が必要な業者
会社の所在地地元に事務所があり、住所を確かめられる所在地があいまい・遠方・言わない
連絡先固定電話がある携帯番号だけ
説明のしかた写真と数値で示し、緊急度を段階で説明「大変なことになる」と不安を煽るだけ
時間の使い方検討の時間をくれる・書面を置いていく「今日だけ」「今すぐ」と急かす
実績施工実績や口コミを確かめられる実績を確認する方法がない

実際にあったご相談:ご家族からの依頼も歓迎です

実は「離れて暮らす親の家」のご相談は、当社では珍しくありません。
ご相談の状況当社の対応
高齢の母が一人で住む実家の外壁塗装を、ご家族が心配して依頼最初のご相談から丁寧に説明し、工事中も安心いただけるよう対応
訪問営業や営業電話が続いて不安になり、数社から見積もりを取った比較検討の末に当社をお選びいただき、納得の上でご契約
※いずれも当社に寄せられたお客様の声に基づく実例です。
当社では工事中、作業内容を写真や動画つきで毎日LINEでご報告しています。離れて暮らすご家族にも、そのまま転送して進み具合を見ていただけます。

困ったとき・契約してしまったときの相談先

困ったときの相談先。消費者ホットライン188と警察相談#9110(図解)
もし契約してしまっても、訪問販売の契約は書面を受け取った日から8日以内ならクーリングオフ(無条件解約)ができます。慌てて諦めないでください。
・消費者ホットライン 188(いやや):最寄りの消費生活センターにつながります
・警察相談専用電話 #9110:しつこい・怖いと感じたら
・熊本県消費生活センター 096-383-0999(平日9時〜17時)
この記事を、そのままご実家に転送していただいて構いません。

まとめ:「向こうから来た親切」ほど、慎重に

市原
市原
今日のまとめは3つです。①地震直後に向こうから来る無料点検は、まず疑う。②断り文句は「家族と地元の業者に相談します」。③困ったら188へ。
屋根が本当に心配なときは、ご家族からのご相談で構いません。「熊本の実家を見てほしい」というお電話やメールも歓迎です。点検の結果、何ともなければ「何ともありません」とお伝えします。押し売りは絶対にいたしません。
ご実家の点検・ご家族からのご相談はこちらから
お電話:096-339-4539(有限会社 日進塗工/熊本市北区龍田)
お問い合わせフォームはこちら
「記事を読んだ」とお伝えいただければ話が早いです。県外のご家族からの代理のご相談も歓迎。点検結果は写真つきでご報告します。

この記事を書いた人

有限会社日進塗工 代表 市原功一朗

市原 功一朗(いちはら こういちろう)
有限会社日進塗工 代表|一級建築塗装技能士・外壁診断士

熊本市北区龍田を拠点に、地域の家々を塗り続けて30年。一級建築塗装技能士・外壁診断士として、熊本特有の暑さや雨風に合わせた戸建て塗装を累計1,500件以上手掛けてきました。「見えない下地処理こそ丁寧に」を信条に、押し売りのない無料診断を徹底。地元の視覚障がい者フットサル(ブラインドサッカー)のスポンサーなど、地域福祉への支援にも取り組んでいます。完工後も熊本の「住まいの主治医」として、年1回の無料点検で長くお付き合いしています。

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